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(前回)
個人事業主は、家族に「青色事業専従者給与」を支給できるが…
家族に給与を支給することについて、前回まで「法人から妻に対して給与を支給した場合」(法人から個人への所得移転)で説明してきました。
では個人事業者は、家族に給与を支給して節税することができないのでしょうか。
実は個人事業主でも、青色申告をしているのであれば同一生計の家族への給与を経費にすることは可能です。
これを「青色事業専従者給与」と呼びます。また給与を受け取る家族は「青色事業専従者」と呼ばれます。
タックスアンサーNo.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除
基本的には法人から家族に給与を払う場合と同じく、経費計上することで節税効果があるのですが、個人事業主が青色事業専従者に給与を払う場合、法人から給与を払う場合と比べて、いくつかデメリットがあります。
青色事業専従者給与特有のデメリット
①配偶者控除や扶養控除が受けられなくなる
「青色事業専従者給与を家族に支給すると、夫の確定申告で配偶者控除(or配偶者特別控除)や扶養控除が受けられなくなる」ということです。
(配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除に関しては下記参照)
法人から給与を支給する場合は、
→給与額が103万円を超えなければ配偶者控除や扶養控除を受けることができる
これに対して、個人事業主の場合は
→1円でも青色事業専従者給与を支給してしまうと、配偶者控除や扶養控除等の適用が受けられなくなるのです。
よって、法人から給与を支給する場合よりも、所得控除がなくなる分、不利となってしまいます。
②事前に届け出した金額の範囲内でなければ認められない
また、個人事業主の場合は「青色事業専従者給与に関する届出」という書類を事前に提出しなければなりません。
この書類に青色事業専従者給与の金額は年間いくらであると記載する必要があり、そこに記載した金額を超えて給与を支給してしまった場合は経費として認められません。
毎年提出する必要はありませんが、金額を変更したり、青色事業専従者の人数を増やす場合はその都度提出しなおす必要があります。
法人の場合は、そのような書類は必要なく比較的自由に給与の額を決定できます。
③「専従」していないといけない
さらに、「専従者」という名称の通り、事業に「専従」している必要があります。
夫の事業以外にパート・アルバイトを掛け持ちすることは可能ですが、パート等で別の雇用者の仕事に長時間従事していると青色専従者給与が否認されるリスクが出てきます。
法人から給与を支給する場合はそのようなことはありません。
ただし、個人事業主も法人も、支払った給与の額が勤務の実態に合わせた適正な給与の額の範囲内でなければ否認されるおそれがあるということは変わりません。
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(次回「所得控除だけじゃない! 所得移転に有効な小規模企業共済!|法人から個人への所得移転⑩」へ続く)