所得税・法人税等

退職慰労金で一気に所得移転!|法人から個人への所得移転⑨


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(前回)
法人から家族に給与を支給した場合、法人で損金となり(法人税が減少)、かつ、受け取る側(個人)では所得税が非課税かつ社保負担なしで受け取ることができました。(法人から個人に非課税で所得移転)

それと同様に退職金」を利用することで、法人から個人へ少額の税負担で所得移転することができます。家族への給与は年間1人あたり100万円程度でしたが、退職金は一度に多額の金額を移転することが可能です。

なお、役員に対する退職金を「退職慰労金(役員退職慰労金)」とも言います。

退職金が少額の税負担で、個人への所得移転できるしくみ
退職金を支給した場合、法人では損金となり(法人税が減少)、かつ、受け取る側(個人)では多額の所得控除が適用される「退職所得」として課税されます。

(退職所得の計算方法)
(退職金の収入金額-退職所得控除額※)×1/2= 退職所得の金額

※退職所得控除の金額は、勤続年数を下記の式に当てはめて計算する
勤続年数20年以下の場合、40万円×勤続年数
勤続年数20年超の場合は800万円+70万円×(勤続年数-20年)

(タックスアンサーNo.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得))


実際に退職慰労金を支給すると、どのくらいの税負担で個人に移転できるのか例を挙げて検証してみます。

(例)法人を設立してから30年間におよび役員として勤めた後、退職した代表者に対して退職金慰労金として1億円を支給した。



退職所得の金額は下記のようになります。
①800万円 +70万円×(30年 -20年)=1,500万円
②(10,000万円 -1,500万円(①))×1/2 =4,250万円

なんと、1億円ものお金を支給したにもかかわらず、課税される所得金額は4,250万円まで下がっています。

まず、「勤続20年までは1年あたり@40万円、勤続20年超は1年あたり@70万円」という所得控除だけでも素晴らしいのに、その上、所得控除後の金額に「×1/2」をするという大盤振る舞い。

それだけではありません。この退職所得は「分離課税」なのです。(分離課税と総合課税については、下記の2記事を参考ください)

分離課税ということは、その年にいくら給与所得(役員報酬)を得ていても、あるいは個人所有の収益物件から不動産所得を得ていても、退職所得は総合課税に合算されず、退職所得にかかる税率を抑えることができるということです。

なお分離課税ではありますが、その税率は累進税率で決まります。(総合課税の累進税率と同じ税率テーブルが適用されます)

その結果、退職所得4,250万円にそのまま所得税の累進税率の計算を適用すれば税額が出ることになります。

その結果、1億円の退職慰労金に対して、

所得税は 14,629,909 円
住民税は 4,250,000 円
合計で 18,879,909 円

となります。
なんと、1億円も個人に支給して税負担額は1,888万円。つまり8,112万円を手取りで受け取ることができるのです。
税率は18.8%。通常の役員報酬であれば考えられないほど低い税負担です。

退職金は社会保険料もゼロ!
退職慰労金には社会保険料がかかりません。会社負担分、本人負担分ともにゼロです。
退職慰労金は社会保険料の側面からも非常に優遇されているのです。

社株の株価を引き下げる(相続対策)
退職の時期となると、そろそろ相続のことも考えなければならない年齢と思われます。
退職金が損金になることで、会社の純資産が減少します。
相続税の評価も下がりますし、株式を生前贈与・譲渡する際の評価額も下がります。
(個人に移転した現金についてもそのままだと相続税がかかるので、別途対策が必要になります)


ただし役員退職慰労金は否認されるリスクあり
多額の法人税を減らしつつ、受け取る側の個人でも税金を抑えられて社保もかからないという夢のような所得移転方法ですが、これにも制限はあります。

それは、役員退職慰労金は不相当に高額な部分は否認されるリスクがあるということです。

法人で利益をたくさん貯める込んでいる経営者ほど、できるだけ多く法人から個人に少ない税負担で所得移転したいので、役員退職慰労金を高額にして法人からお金を抜こうとするはずです。

相続税もできるだけ払いたくないでしょう。
退職金を使って好き放題されては困る、と税務当局が待ったをかけるわけです。

ではいくらであれば妥当な金額と認められるのでしょうか。

功績倍率法」といって、「退職時の月額報酬×勤続年数×功績倍率(※)」という式に基づき計算する方法がよく用いられるようです。
(※ 功績倍率は役職によって変わる。創業者であれば「3」前後であれば否認されないことが多いでしょう)

「退職時の月額報酬」が計算式に入っている通り、毎月の役員報酬をしっかり払っていないと、退職慰労金も大きくはできません。しかし、役員報酬を多く払うと社保や税金が重い…というジレンマがありなかなか悩ましいところです。

また、役員退職慰労金が適切であったかは、税務調査に入られてみないとわかりません。金額が大きくなりやすく、適切かどうかに主観が入りやすい役員退職慰労金は論点になりやすい項目です。(例えば功績倍率「3」は絶対的な値ではなく3.5でもOKなこともあります)

きちんと勤務実態や計算のロジックを積み重ねて金額の根拠を固めておき、過去の否認例(裁判や国税不服審判所)の事例も参照しながら「これくらいなら大丈夫であろう」という微妙なラインを突いて決めていくことになるので、顧問税理士との相談は必須になるでしょう。

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(次回、「所得控除だけじゃない! 所得移転に有効な小規模企業共済!|法人から個人への所得移転⑩」に続く)