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今回は節税の4分類の3つめ、「③キャッシュアウトを伴わない節税」について詳しく説明していきます。
- ①キャッシュアウトを伴う節税
- ②キャッシュアウトを伴う課税の繰り延べ
- ③キャッシュアウトを伴わない節税 ←今回はコレ
- ④キャッシュアウトを伴わない課税の繰り延べ
キャッシュアウトを伴わない節税とは
キャッシュアウトを伴わない節税の例として下記のようなものがあります。
(1)制度上認められている非課税や税額控除、所得控除等を利用する。
(2)キャッシュアウトを伴わない経費を計上する時期を調整して、税率が高い年度の税金を少なく、税率が低い年度の税金を多くすることでトータルの税額を減らす
(1)は節税の王道ですね。
非課税という言葉の通り、税金の支払いを減らす本当の節税になるものです。
法人の場合は
・法人から代表者に対して出張旅費・日当を払う(非課税)
・社宅(家賃補助相当分が非課税)
・役員報酬や家族に支給する給与における給与所得控除相当分
などがあります。
個人事業主の場合は青色申告申告特別控除(65万円控除)や、青色専従者給与、住宅ローン控除等もこれに該当します。
一方で、(2)の「キャッシュアウトを伴わない経費を計上する時期を調整して、税率が高い年度の税金を少なく、税率が低い年度の税金を多くすることでトータルの税額を減らす」については説明が必要です。
法人税は所得800万円までは超軽減税率が適用されて税負担が軽く(21%~23%程度)、所得800万円を超えると一気に税率が約10%上昇して約33%になります。つまり、所得800万超の税率が高くなる部分を毎年できるだけ少なくすることで、トータルの税額を抑えるということです。
帳簿上だけで計上するキャシュアウトしない費用、とは減価償却費のことです。
法人では減価償却について一定の金額であれば任意の金額で計上すること(任意償却)ができるため、固定資産計上の仕方や減価償却のスケジュールを工夫することで、所得の金額や納税額をコントロールすることができるのです。
(少額減価償却資産も同様に、当期の所得が800万を超えそうかどうかで、費用にするか資産にするかを判断することで税のコントロールができます)
真の節税とも言える、キャッシュアウトを伴わない節税…なんだけどデメリットが
「キャシュアウトを伴わない節税」は一時的な課税の繰り延べではなくトータルの税額が減るし、現金流出もしないので、一見パーフェクトな節税方法のように聞こえるかもしれませんがデメリットはあります。
それは「節税できる金額が小さい」こと、と「一つ一つ細かく検討して対応する必要がある」ということです。
例えば給与を家族に支給するのであれば社保の負担も含めて緻密に計算して、本当に得なのかを検討しなければならないし、減価償却で税額を調整する方法などは、償却スケジュールを作るのも頭を使いますし、効果が出るのに何年もかかります。税理士と二人三脚でしっかり考えなければなりません。
要はめんどくさいんです。本当の節税というものは。
「チマチマ手間かけてせいぜい毎年数十万円の節税するよりも、その時間を事業にコミットしたほうがもっとお金増えるわい!」という人には正直向かないし、その通りだと思います。
一方で、「チリも積もれば山となる。毎年50万でも5年で250万、10年で500万の現金が手元に残る、がんばる!」という人はぜひやってほしい対策でもあります。
「キャッシュアウトを伴う節税」で例として挙げた小規模企業共済やiDecoも、数年~数十年も毎月コツコツ積み上げて、最後に退職所得として節税の恩恵を受ける性質のものです。
王道の節税というのはチマチマやっていくしかないのです。逆に言うと、普段からこういった細かい節税対策をとらず、税金をたくさん納めなくならなくてはならない状況になってから「節税できる方法ないか」と焦っても、できることといったら大体が「課税の繰り延べ」かリスクのあるグレーな節税方法しかないのです。
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(次回「④キャッシュアウトを伴わない課税の繰り延べ」に続く)