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前回、給与所得者(サラリーマン)が1棟目のアパートを個人で取得した場合と法人で取得した場合の税負担を比較しました。
その結果、
・個人には青色申告特別控除がある
・法人は均等割や税理士報酬などの固定費がかかる
・そもそも本業の給与年収500万円の人にとっては法人税より個人の所得税(+住民税)のほうが税率が低い(年収500万円の人だと所得が増加する分に対してかかる所得税10%+住民税10%=20%。法人税は所得400万円以下の部分に対する税率は21%)
といった要素から、「1棟目は個人で取得したほうが税負担が軽い」ということになりました。
では、給与年収500万円の人にとって、法人化するメリットは全くないのでしょうか。
今回は、2棟目を取得した場合の税負担を比較してみます。
(なお、不動産賃貸業以外の事業の方は「不動産所得」を「事業所得」に置き換えてお読みください。結果は同じ数値になります)
前提(前回と同じ)
会社員 年収500万円(40歳未満、独身)
1棟目から得られる所得 200万円 (前回の例で取得した物件)
2棟目を取得することにより増加する所得 300万円 (今回新たに取得する物件)
とします。
(※ それぞれ、家賃収入 – 減価償却費含む諸費用。青色申告特別控除前)
A.個人で取得する場合(2棟目)
個人で物件を取得するとき、
①給与所得のみ
②給与所得+1棟目
③給与所得+1棟目&2棟目
の税額を検証します。
①給与所得のみ
額面給与500万円の場合
不動産所得がなく、給与所得のみの場合、所得税と住民税の合計で38.7万円(①)となります。
②給与所得+1棟目
額面給与500万円、1棟目の収益不動産からの所得が200万円の場合
個人1棟目を取得した場合、税額は70.3万円(②)となります。
ここにさらに2棟目に取得する収益物件からの所得300万円が加えると下記のようになります。
③給与所得+1棟目&2棟目
額面給与500万円、不動産からの所得500万円の場合(1棟目 200万円+2棟目 300万円)
個人で給与所得 + 2棟を取得した場合の税額は172万円(③)となります。
2棟目を取得したことで、税額が下記のように
①給与所得のみ 38.7万円
②給与所得+1棟目 70.3万円 (①から 31.6万円増加↑)
③給与所得+2棟目 172万円 (②から 101.7万円増加↑)
と増加していっています。
1棟目を取得することで増加するのは31.6万円に対して、2棟目を取得する際には101.7万円増加しており、3倍以上の開きがあります。
2棟目は、1棟目よりも物件から生じる所得が100万円多いとはいえ、なぜここまで差がでるのでしょうか。
それは
・累進課税により、2棟目の所得に課される税率が高くなった(10%→20%。住民税10%も合わせると30%になる)
ことに加えて、
・1棟目は青色申告特別控除(65万円)が適用されることで課税される所得は135万円となるのに対して、2棟目の際には65万円の控除を使い切っているため300万円全体に課税される
・個人事業税は不動産からの所得290万円までは非課税なので1棟目ではかからなかったが、2棟目で所得290万円を超えたため課税されるようになった
といったことで、税負担が1棟目よりも重くなったということがあげられます。個人では、青色申告特別控除を使い切ると、税額が加速的に増えていくという仕組みになっていることを感じると思います。
なお、社保については、勤め先の健保・厚生年金に加入しているのであれば、不動産所得が増加しても社会保険料は増えません。
ちょっと長くなってきたので、法人で2棟目を取得した場合は、次回説明します。
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(次回、法人で2棟目を取得する場合|法人VS個人③へ続く)