所得税・法人税等

個人でも任意に償却できるタイミングがあるにはある| 減価償却で税をコントロール⑬

あなたに合った税理士を探すなら“Fixpert(フィクスパート)”

https://lp.fixpert.jp/

・税理士を探しているが、税理士を紹介してもらえるツテがない
・特定の業種に詳しい税理士を探している
・地域や年齢、ITに詳しいか等、自分に合った税理士を選びたい
といったお悩みはありませんか?

税理士とクライアントをマッチングするプラットフォーム“Fixpert(フィクスパート)”なら、PC・スマホから無料で簡単に税理士を探すことができます。

2022年9月中にサービス開始予定!
事前登録は下記のサイトよりお願い致します。
https://lp.fixpert.jp/
(当サイト「税の処方箋」の著者が運営するサービスです)

前回

個人は任意償却ができないので、減価償却による所得コントロールは少し難易度が高いという話があったとしましたが、実は個人でも部分的に任意で償却できるタイミングがあります

それは物件を売却した年です。
売却した年における、(売却した月までの)月割りの減価償却費を「計上する/しない」を選択することができます

例えば、11月に売却した場合であれば、1月~11月までの11か月分の減価償却費の計上する/しないを選択することができます。

(例)
2017年1月に築30年、6,000万円の木造アパートを個人で取得した。
土地4,000万円、建物2,000万円として固定資産計上し、簡便法に基づく耐用年数(4年)で減価償却している。
当該アパートを2020年11月に5,000万円で売却した。

この場合、譲渡所得にかかる所得税は下記のパターンそれぞれでどちらが少なくなるか。
①売却した年度の月割り減価償却費を計上する
②売却した年度の月割り減価償却費を計上しない場合

なお、短期譲渡として税率は39.63%で計算する。
また、計算にあたり諸費用は無視する。

答え

379.8万円198.2万円
②の方が譲渡所得に対する税金が少ない

なんと、売却した年度の減価償却費をするかしないかの選択で、181.6 万円(① – ②)も納税額が違います。

解説
まず、①、②共通の事項として、1年あたりの減価償却費を計算します。
2,000万円(建物取得価額)÷4年=500万円 …(1年あたり減価償却費)

①売却した年度の月割り(11か月分)の減価償却費を計上する場合
売却した月までの月割りの減価償却費
→500万円×11/12= 458.3 万円

2,000万円(建物) – (500万円×3年 + 458.3万円)= 41.7 万円 …(売却時の建物簿価)
5,000万円(売却額)- (土地 4,000万円 +建物簿価 41.7万円) = 958.3 万円…(譲渡所得)

958.3万円×39.63% (税率) = 379.8 万円 …(短期譲渡所得の税金①)

②売却した年度の月割りの減価償却費を計上しない場合
売却した年度の減価償却費
なし(0円)

2,000万円 (建物) – (500万円×3年 + 0円)= 500万円 …(売却時の建物簿価)
5,000万円 (売却額) – (土地 4,000万円 +建物簿価 500万円) = 500 万円 …(譲渡所得)


500万円×39.63%(税率)= 198.2 万円 …(短期譲渡所得の税金②)

1年あたりの減価償却費が大きかったり、短期譲渡所得で税率が高かったりする場合において、売却年度において期中の月割りの減価償却費を計上する/しないの選択でキャピタルゲインの税金への影響が大きくなります。

キャピタルゲインの税金(譲渡所得の税金)を減らしたいのであれば、売却する年の月割り減価償却費は計上しない方法を選択したほうが有利です。

ただし減価償却しないほうを選ぶと不動産所得が増える
売却年度において、月割り減価償却費を計上しないことを選ぶと、譲渡所得の税金を減らすことができますが、デメリットもあります。

減価償却費を計上しなければ、家賃収入に対応する経費がその分少なくなり、インカムゲイン(つまり不動産所得)に対する税金が増加します

売却年度の月割り減価償却費を計上する/しない、どちらを選択したほうがいいかは

・譲渡金額および、売却年度の月割り減価償却費がいくらか(キャピタルゲインへの影響額)
・短期譲渡か長期譲渡か(キャピタルゲインの税率)
・家賃収入が何円か(インカムゲインへの影響額)
・自分の総合課税により増える税金がいくらか(インカムゲインの税金への影響額)

によって変わりますので、それぞれ計算してキャピタルゲイン(譲渡所得)の税金とインカムゲイン(不動産所得)の税金の合計額が少なくなる方を選択しましょう

あなたに合った税理士を探すなら“Fixpert(フィクスパート)”

https://lp.fixpert.jp/

税理士とクライアントをマッチングするプラットフォーム“Fixpert(フィクスパート)”なら、「税理士の先生との相性が合わない」「税理士の変更を考えているが、新しく自分に合う税理士を探すツテがない」等のお悩みを解決できます!

2022年9月中にサービス開始予定!
下記のサイトより事前登録をお願い致します。
https://lp.fixpert.jp/
(当サイト「税の処方箋」の著者が運営するサービスです)

(次回「債務超過になってないはずなのに…?| 銀行から見た貸借対照表」)