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前回、個人で2棟目を取得した場合の計算をしました。
額面年収500万円の人について、
・個人で1棟目に不動産所得が200万円増えるアパートを取得すると 31.6 万円増加
・そこからさらに2棟目も個人で不動産所得が300万円増加するアパートを取得すると、一気に 101.7 万円の税金が増加してしまう
という結果になりました。
では、法人でアパートを取得した場合の税負担はどうなるでしょうか。
法人でアパートを2棟取得した場合の税金の増加分
1棟目を法人で取得したときの税額は下記の通りでした。
これに法人住民税の均等割7万円と税理士報酬25万円(概算)を合わせて、 74.7 万円が法人で1棟目のアパートを取得した場合に毎年発生するコストでした。
(※税理士報酬は損金になるので法人税等もその分減るのですが、簡略化のため考慮していません)
ここから更にもう1棟、所得が300万円増加するアパートを取得した場合を想定します。
アパートを2棟保有することで発生する所得は 500 万円(1棟目200万円+2棟目300万円)です。
法人は個人と違って、青色申告特別控除(65万円)はありませんので、この500万円に対して下記の法人税等(法人税・住民税・事業税等の実効税率)の税率で税金がかかります。
(所得の金額)
~400万円 :21.36%
400万円~800万円 :23.17%
800万円~ :33.58%
所得500万円の場合の税額
この税額に、法人住民税の均等割7万円と税理士報酬25万円(概算)を合わせて、
140.61 万円が法人で2棟のアパートを取得した場合に毎年発生するコストとなります。
個人VS法人
さて、諸条件が出揃ったのでようやく本題の「個人と法人の比較」をします。
法人で取得した場合の税金(+税理士報酬)の増加分
①法人設立せず :0円
②1棟目取得 :74.7万円(①から74.7万円増加↑)
③2棟目取得 :140.6万円(②から65.9万円増加↑)
前回計算した、個人で取得した場合の税金の増加分(所得税+住民税+事業税)を再掲します。
個人で取得した場合の税金の増加分(額面年収500万円の人)
①給与所得のみ 38.7万円
②給与所得+1棟目 70.3万円 (①から 31.6万円増加↑)
③給与所得+2棟目 172万円 (②から 101.7万円増加↑)
1棟目取得の時点では、増加する税金は、個人が 31.6万円、法人は74.7万円と、個人の方が得です。
しかし2棟目になると、増加する税金は、個人が101.7万円、法人が65.9万円と逆転します。(増加する所得に対する税金の増加分について、法人のほうが安くなる)
3棟目以降を取得する場合、さらにこの差は開いていきます。
その原因を分析すると下記のようになります。
【法人】
・所得800万円以下は税率約21%~23%と低廉。
・法人の維持のために均等割や税理士報酬が発生するが、2棟目以降は追加で発生しない(税理士報酬は多少増加する可能性はあるが、大幅には変わらない)
【個人】
・累進課税で所得税率が高くなる(1棟目10%から、2棟目は倍の20%に上がる。住民税10%と合わせると税率30%になる)
・1棟目は青色申告特別控除(65万円)が適用されることで課税される所得は135万円(200万円–65万円)となるのに対して、2棟目は300万円全体に課税されてしまう
・個人事業税は不動産からの所得290万円までは非課税なので1棟目では事業税はかからなかったが、2棟目から所得290万円を超えたため課税されるようになる
要するに、
・個人は青色申告特別控除があるので1棟目は安くなるが、それを使いきると累進課税で税負担が一気に重くなる。
・法人は、青色申告特別控除がなく税理士報酬や均等割があるので1棟目の際のコストが重くなるが、2棟目以降はそれらのコストが増えないことと、税率の低さもあり、個人と比べると税負担は軽くなる、ということになります。
法人の場合はここから個人への所得移転を考えなければなりませんが、それを度外視するとこのような結果になります。
次回、このような法人と個人の税金の増え方を踏まえて、どのように売上を立てていくのがよいのか考えてみたいと思います。
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