所得税・法人税等

意外と知られていない青色申告の留意点 |事業的規模の解釈に注意

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(前回)

個人で事業をやっている方々の多くは「青色申告」をしていると思います。

65万円もの控除(青色申告特別控除)、赤字の繰越控除、家族への青色専従者給与等、メリットがたくさんありますが、青色申告に関連して意外と知られていない効用や注意点等の豆知識を6点ほど紹介します。

繰戻還付ができる
青色申告をすれば当期の赤字を繰り越しして来期以降の黒字と相殺(繰越控除)することができるというのは有名ですが、その逆に、当期の赤字を前期の黒字と相殺する「繰戻(くりもどし)還付もできるようになります。(所得税分のみ。住民税は繰越控除になる)

収益物件を取得して、その取得費用等で一時的に赤字になってしまうこともあるかと思いますが、前期が黒字であれば、繰戻還付によって前期に納めた所得税を取り戻すことにより資金繰りを改善することができます。

また、毎年物件取得等が続くことで赤字が続きそう等、繰越控除の期限である3年以内に黒字にできるか不確定(=繰越できなくなってしまうリスクがある)場合において、繰戻還付を選択肢に入れてよいと思います。

なお、繰戻還付をした場合、税務署からの問い合わせや税務調査が入る可能性が高まると言われていますので、相応の心構えはしておきましょう。

ちなみに、法人の場合も資本金1億円以下の中小企業者等であれば繰戻還付ができます。

不動産を共有している時の青色申告特別控除
「5棟10室」以上(「事業的規模」)の部屋を保有している場合、不動産所得で65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

そして、夫婦や親子等、複数人で不動産を共有している場合であっても、5棟10室の事業的規模の基準を満たしていれば、「全員が」それぞれ65万円の青色申告特別控除をすることができます

「共有の場合は、持分や人数で部屋数を按分したうえで5棟10室を満たすかどうかを判定する」と誤解をしないように注意しましょう。

夫婦共働きで2人の与信を利用して不動産投資をしたいという場合は2人とも65万円控除できるのでお得です。(共有のリスクとして離婚時に揉める可能性はあるのでそこはご留意ください)

業的規模の部屋数カウントについて(所得税)
所得税の事業的規模の判定における、いわゆる5棟10室基準は「戸建てなら5棟、共同住宅(アパート、マンション)なら10部屋」というものです。

戸建てと共同住宅の両方を持っている場合は、「戸建て1棟を2部屋」とカウントすることになります。

なので、戸建て2つとアパート1棟(6室)であれば、

(戸建て2棟×2)+6部屋=10部屋

として事業的規模になり、65万円控除を受けられるようになります。

ちなみに、明文規定はありませんが月極駐車場の賃貸については「車5台分」を「共同住宅1室」に換算する実務もあります。

④5棟10室を満たさなくても事業的規模と認められるケース
事業的規模の判定に用いる5棟10室について、絶対にその基準を満たさないと事業的規模とは認められないのでしょうか。

実は、5棟10室基準は「形式基準」であり、実態として事業的規模かどうか(実質基準)の判定もあります。

もし10室に満たなくとも売上が何千万もあったりして、その業務に事業としての手間やコストを相応にかけているのであれば、社会通念上事業的規模であると言えるでしょう。

ただ、5棟10室を満たさないで65万円控除の適用したり、青色専従者給与を支給して税務当局から否認されているという事例もありますので、税務署や税理士と協議しながら慎重に行うほうがよいと思われます。

⑤個人事業税は事業的規模にならなければ課税されない
個人でも、事業的規模かつ所得で290万を超えると事業税(個人事業税)がかかります。具体的には下記のように計算します。(簡素化のため、ざっくりした表現にしています。実際はもっと細かいです)

((所得+青色申告特別控除)-290万円)×税率(%)
※税率は業種によって異なります。不動産貸付業の場合の税率は5%

ここで、「(青色申告特別控除前の)所得が290万円以上になったら事業税がかかる」と思うかもしれませんが、実は不動産貸付業の場合は「事業的規模」になっていなければ、所得+青色申告特別控除が290万円以上であっても事業税はかかりません

⑥「個人事業税の事業的規模」と「所得税の事業的規模」の違い

事業税に関してはもう一つ注意点があります。
それは、所得税の「事業的規模」と個人事業税の「事業的規模」は定義が違うということがあります。

「5棟10室」について、所得税では一戸建は5棟で事業的規模に該当しますが、事業税では一戸建てが10棟で事業的規模となります(東京都の場合)。

つまり一戸建て5棟を運営している大家さんは、所得税では事業的規模(65万円控除OK)ですが、事業税では事業的規模には該当しない(事業税が課されない)ということになります。

(東京都主税局 個人事業税「8 不動産貸付業と駐車場業の認定基準」の項 参照)

所得税の確定申告を税務署に提出したら都税(県税)事務所に共有され、その申告書の内容をもとに事業的規模かを判定して、個人事業税の納税通知書が送られてきます。


なので、こちらで事業税の事業的規模にあたるかどうかを申告する必要はありません。
ただ、もし事業税の事業的規模に該当してないはずなのに事業税の納税通知書が届いた場合は都税/県税事務所に確認したほうがよいでしょう

なお、所得税は国税なので、所得税の事業的規模の基準(5棟10室)は全国共通ですが、
事業税は地方税なので、事業税の事業的規模の定義は各都道府県で異なるのでご注意ください。(お住まいの自治体の個人事業税の欄を参照ください)

おまけ

余談ですが、事業税は経費になるので、所得税や住民税と同じようにうっかり「事業主貸」で仕訳計上してしまわないように注意です。

事業税は「租税公課」で計上しましょう。(不動産取得税や固定資産税と同じ扱い)

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(次回、「「法人は税率が安いから」で思考停止してはいけない!|法人から個人への所得移転①」に続く)